犬や猫のアレルギー、薬で抑えるしかないの?
仕組みを知ると、ケアの道筋が見えてきます
わんちゃん・猫ちゃんの「かゆみ」「下痢」「嘔吐」など、慢性的に続く症状の裏には、思っている以上に“アレルギー”が関わっています。
アレルギーとは本来、体を守るための免疫(警備システム)が、無害なものを敵と勘違いして攻撃してしまう状態です。
花粉やハウスダスト、あるいは鶏肉・小麦など、本来であれば体に害のないものが「侵入者」と誤解され、体の中で“火事(炎症)”が起こってしまうのです。
■ アレルギーには2つのタイプがあります
● 即時型:すぐ反応が出るタイプ
顔の腫れや急なかゆみなど、数分〜数時間で症状が出ます。
● 遅発型:じわじわ悪化するタイプ
食べた直後は平気でも、数日〜数年かけて皮膚炎や下痢が進むケースです。
「体質だから仕方ない」と思っていた症状が、実はこの遅発型アレルギーだったということがあります。
■ 食べ物は“コントロールできるアレルゲン”
花粉やホコリをゼロにするのは現実的ではありませんが、食事は飼い主さんの手で変えられます。
実際、犬猫では環境物質よりも食物アレルギーが原因になっていることが少なくありません。
一度アレルゲンとして記憶された食物(例:鶏肉)は、食べるたびに炎症が起きてしまうため、
治療は「①アレルゲンの回避」と「②炎症を抑えるケア」の2本柱になります。
■ 鍵は“腸”。腸内フローラは最大の免疫器官です
腸は、体の中でもっとも大きな免疫の舞台です。
私はよく“港”に例えるのですが、腸は外から入ってくる栄養を仕分ける場所です。
腸のバリアが弱ってくると、未消化のタンパク質などが本来入ってはいけないところまで入り込み、免疫が過剰反応を起こします。
それを制御しているのが、腸内細菌の一種である酪酸菌(らくさんきん)。
酪酸菌がつくる「酪酸」には
- 免疫の暴走を落ち着かせる
- 腸の粘膜バリアを強くして、アレルゲンの侵入を防ぐ
という二つの働きがあります。
つまり、腸内環境を整えることはアレルギーケアの大きな助けになるのです。
■ 薬は「必要なときの助っ人」。目標は“減薬”です
ステロイドや免疫抑制剤は、確かにつらい症状を和らげる強力な味方ですね。
ただ、長く続けると負担が大きくなることがあるため、
薬だけに頼らず、体そのもののバランスを整えていくこと
これが当院が目指している治療の方向性です。
腸を整え、適切な食事を選び、体が本来持つ治る力を引き出す。
遠回りに見えても、実はこれが最も優しいアプローチだと考えています。
■ 一緒に、続けられるケアを探しましょう
アレルギーは“今日始めて明日治る”ものではありません。
良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、少しずつ前へ進む病気です。
だからこそ、
「もっと自然な形で体質改善をしたい」
「薬を続けることに不安がある」
そう感じたときは、ぜひ当院へご相談ください。
その子に合った、“続けられるケア”を一緒に考えていきましょう。

アレルギーのタイプと薬に頼らない治療について、
note(外部ブログ)でより詳しく記載しています。
ぜひ合わせてご覧くださいね♪