冬の病気は飲水不足から? ~猫ちゃんの腎臓とおしっこトラブルを防ぐ対策
飲水量を保って、腎臓とおしっこの健康を支えましょう
冬になると、動物病院には「膀胱炎」「尿道閉塞」「尿路結石」など、猫ちゃんの下部尿路のトラブルがぐっと増えます。
その大きな理由は、寒さで飲水量が減り、尿が濃くなること。
今日は、猫ちゃんの体で何が起きているのか、そしてご家庭でできる飲水対策を分かりやすくお話しします。
猫のおしっこが冬に“濃くなる”理由
猫はもともと砂漠で暮らしていた動物です。
そのため、腎臓で水分をしっかり再利用し、少量の濃い尿をつくるのが得意。
これは自然界ではとても有利ですが、現代の室内猫にとっては、時に病気の引き金になります。
● 冬は飲水量が減りやすい
寒いと動きが少なくなり、水飲み場に行く回数も減ります。
こたつやヒーター前から“離れたくない気持ち”、人と同じですね。
● 尿が濃くなると起こること
・結晶・結石ができやすくなる
・膀胱炎を起こしやすくなる
・腎臓に負担がかかる
つまり “水を飲まない → 尿が濃くなる → トラブルが増える” という流れが冬には起こりやすいのです。
今日からできる!飲水量を増やすコツ
猫ちゃんに「健康のために飲もう」と自覚してもらうのは難しいので、環境づくりがとても大切です。
① 室温を上げる
いちばん手軽で効果的なのがこれ。
水飲み場が寒いと足が向かないため、あたたかい場所の近くに水を置くだけで飲水量が変わるケースがあります。
② 流水やぬるま湯を活用する
蛇口の水や、お風呂場の流水が好きな猫ちゃんは案外多いもの。
また、人と同じく「ちょっとぬるい水」が飲みやすいこともあります。
ただしぬるま湯は冷めてしまうので、時間を分けて何度か提供してあげるのがおすすめです。
③ 少量の天然塩を加える
猫は塩味を好みますね。
飲み水に“ほんのり分かる程度”の天然塩を入れることで、ミネラルと水分を一緒に摂りやすくなることがあります。
※腎臓病の猫ちゃんは必ず事前に獣医師へご相談ください。
④ 他の方法でうまくいかない場合の“最終手段”としての冷水
少し意外ですが、冷たい水のほうがよく飲む猫がいることが研究で報告されています。
冷たさが「新鮮」と感じられ、好みに合う猫が一定数いるようです。
ただし、
冬場の冷水は体を冷やす可能性があるため、積極的に推奨する方法ではありません。
- 室温調整
- ぬるま湯
- 流水
- 塩味の工夫
こうした 他の対策がどうしても難しかった場合の選択肢 として、
氷をひとつ入れる程度の“少し冷たい水”から試すことをおすすめします。
猫ちゃんの反応をよく見ながら、合うかどうか判断してあげてください。
尿検査は“飲水量を数値で知る”大切な手がかり
「うちの子、十分に飲めているのかな?」
そう思ったとき、頼りになるのが動物病院での尿検査です。
尿の“比重(=濃さ)”を調べることで、
その猫ちゃんの飲水量が体にとって十分かどうかが分かります。
- 尿が濃すぎないか
- 結晶ができていないか
- 膀胱炎の兆候はないか
症状が出る前に把握できる、心強い検査です。
愛猫に合った“飲み方”を見つけて冬を快適に
飲水量が保たれると、膀胱炎や結石、腎臓病など多くのトラブルを予防できます。
冬は特に、飲水対策が猫ちゃんの健康を支える大きな力になります。
猫は一匹ずつ好みが違うので、
「この子はどうしたら飲みやすいかな?」
と、ぜひ一緒に探してみてください。
もし不安なことや気になる症状があれば、当院へご相談くださいね。

猫に飲水を促す方法について、
note(外部ブログ)でより詳しく記載しています。
ぜひ合わせてご覧くださいね♪