緩和ケア
緩和ケア
palliative care緩和ケアは、患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、精神的な苦痛を早期に発見して、苦しみを予防し和らげる事で生活の質(QOL;quality of life)を改善するアプローチです。
以前は「有効な治療がなくなってから提供される(=終末期医療)」と考えられていましたが、今は「病気が診断された時点から治療と並行して始める」ように変化しています。

緩和ケアで期待できること
- 生活の質(QOL)改善
- 痛みの緩和
- 減薬
- 手術後の早期回復
- 飼い主のグリーフ(悲嘆)ケア など
当院で行っている緩和ケアの例
栄養療法
医食同源。動物の体は食べた物(飲んだ物)から出来ています。またライフステージや抱えている病気により必要な成分や栄養バランスが異なったり、食べやすい形状も違ってきます。その子に合った食事の提案をしています。
サプリメント療法
食事だけでの完璧な栄養摂取が理想的ですが、実際は難しいことも多く、サプリメントによる補給は効果的です。当院獣医師は国際オーソモレキュラー医学会に所属しており、日々情報をアップデートしています。
オゾン療法
適量のオゾンガスを注入する方法で、抗酸化作用や免疫の活性化などを期待できます。当院では負担の少ない注腸法を行っています。
半導体レーザー療法(光線療法)
近赤外線のレーザーを患部に照射する方法で、痛みの緩和、炎症の抑制、傷の治癒促進、血流改善などに有効です。
酸素カプセル
1.3気圧のカプセル内で高濃度の酸素を取り込み、疲労回復、血流改善、自律神経調整などをサポートします。
その他
温浴、歩行補助グリップ、腸内フローラ(糞便)移植など
兵庫みなと動物病院が緩和ケアを大切にする理由
「こんなにツラいなら、もう動物は飼いたくない」
私が獣医師として、多くの動物と飼い主さんと接してきた中で、最も強く深く心に刺さっている言葉です。
当時の私は「病気の動物を絶対に治すんだ」という気持ちで、また飼い主さんを鼓舞して治療を行っていました。もちろんそれは獣医師としてあるべき姿勢で、その熱意で救える命があり、またそのようにして医療は発展し続けています。それでも、全ての命はどこかで終わりを迎えることは避けられない宿命で、一生懸命に私の方針についてきてくれた飼い主さんが看取りの後に仰った言葉が「こんなにツラいならもう動物は飼いたくない」でした。
私は”病気を治す”だけを善しとし、飼い主さんの心情に配慮していなかったことに気づきました。『小さな家族がつらい症状や治療に耐えながら闘病している姿』は飼い主さん自身にもとても心苦しいもので、もし一緒に過ごした十数年の楽しい思い出より大変な闘病が記憶に刻まれたなら、今でもとても申し訳ない気持ちになります。
それを機に、私は『動物と飼い主さん双方の幸せ』を意識し、『より良く生きる』にはどうするのが良いかを考え続ける過程で、【緩和ケア】に取り組んでいる次第です。
当院では、かかりつけ医での治療と併行しながら、緩和ケアを行うことにも対応いたします。お力添えになれそうでしたら、遠慮なくご相談ください。